文化 - チュニジア料理

ブリック

ブリック

北アフリカにあるチュニジアは、民族的には中東(アラブ)に属し、地中海文化圏に含まれている。チュニジア料理もまさにそれらの特徴を備えている。歴史を紐解くと、さらに興味がわき、理解の一助になるだろう。詳しいことは専門家に任せるとして、料理に関わる大きな影響を大まかに述べてみよう。

魚のクスクス

魚のクスクス

チュニジアンスイーツ

チュニジアンスイーツ

紀元前、北アフリカに暮らすベルベル人の料理(クスクスなど)に、フェニキア人がカルタゴを建設してオリエントの文化を持込んだ。その後のローマ人はギリシャを含めたローマ地中海文化を、アラブ人は総合的なイスラム文化を持込み、チュニジア料理を変えた。チュニジア料理の基本形は、この頃できたと思われる。さらに、その後、オスマントルコはペルシャ料理の影響を受けた宮廷料理を、レコンキスタでやってきたアンダルース人はイベリア半島の料理を、近年のフランス人は総合的な文化を、それぞれチュニジア料理の上に持込んだ。なかでも重要なのは、16世紀シチリアを介したパスタの伝播と、アンダルース人が持込んだ新大陸の食材(トマト、唐辛子、ジャガイモなど)だろう。これらの食材はチュニジア料理も含め地中海料理に大変革をもたらしたものだ。こうして歴史の与えた影響が、チュニジアに他のマグレブの国々とまったく違う独自な料理を育ませたといえる。

オリーブとオリーブオイル

オリーブとオリーブオイル

チュニジア料理は、まぎれもなく地中海料理で、その地理的な位置からイタリア半島と、また、歴史的にイベリア半島との関わりが近隣諸国より深いからだ。チュニジアは世界第4位のオリーブ生産量を誇っているが、それを反映するように料理もほとんどオリーブオイルで調理される。それと、ハリッサ(オリーブオイル、唐辛子、クミン、キャラウェイ、コリアンダーを混ぜたもの)という調合スパイスを多用するのだが、これは、日本の味噌、醤油の使い方に似ている。ちなみにチュニジア料理にハマるかどうかは、これが好きになるがどうかにかかっているといっていいだろう。

チュニジアの香辛料 ハリッサ

チュニジアの香辛料 
ハリッサ

またチュニジア人の卵好きは、ちょっと異常とも思えるほどで、これは代表的なチュニジア料理が並べられた前で、誰でもすぐに気付くほどだ。肉は羊肉が8割、残りが鶏と牛肉が使われる。宗教のため豚肉は中華料理店に稀にあるだけ。魚介類では地中海産のものをほとんど使うが、イスラム教国には珍しく、タコ、イカも食べる。レストランではバラエティ豊かな肉料理と豊富な魚介類があることで、選ぶ楽しみが広がるだろう。中東料理に馴染みのない日本人は、エスニックというと、ひとくくりにスパイスの多さと辛さをイメージするが、気抜けするほど使われないので、辛さが苦手でも充分楽しめる。それでもさすがにハリッサそのものと、日本のピーマンにそっくりな青唐辛子は、相当辛いのでご注意を。

ミントティー

ミントティー

最後にチュニジア料理の入門編に、おすすめのメニューを挙げてみる。チュニジアに行かれた際にはぜひ、試してみるといい。これでお腹一杯になることうけあい。
ボナペティ!

  • サラダ・チュニジアン(フレッシュサラダ)、またはサラダ・メシュー  イア(焼き野菜のサラダ)
  • ブリック(卵の包み揚げ、ツナが主流だが、まれにエビがあり美味)、またはショルバ(大麦入りスープ、肉と魚がある)
  • クスクス(肉、魚、野菜がある)、またはポワッソン・コンプレ(魚のグリル)、またはタジン・チュニジアン(卵、肉、野菜が入ったチュニジア風オムレツ)
  • テ・ア・ラ・マントゥ(ミント入りの甘い茶)

執筆:畑中 博
パリで美術を学ぶ。帰国後デザイナーの仕事を経てシェフの道に転向。
東京・中野でチュニジア料理店「カルタゴ」を開く。
現在同店のオーナーシェフとして活躍中。

出典:素晴らしい世界の国々ガイドシリーズ「チュニジア」
発行:楽天舎書房  編集:株式会社ビックボーイ編集部